ガルニモ

バランス大事。

ネコ

無欲について

2019年が終わるので記念に何か書きたい。

欲望について。

欲望を持つことの愚かさは良く知られている。おそらく、西洋東洋問わず、欲望を持ちすぎて破滅した人の物語は語られているのだと思う。

逆に、欲望を持たないことの素晴らしさは良く知られている。多くを望まないことで、現在持っているもので十分満足できるようになり、心の平穏も得られると言われている。仏教のブッダも、確か欲望を持たないようにと弟子に伝えてた気がする。

昔、私は全く欲望を持たない人間だった。どれくらい欲望を持たない人間だったかというと、明日死んでも特に思い残したことは無いくらいに欲望が無かった。別に明日じゃなくて、今日死んでも特に問題は無かった。

というわけで、私は欲望を持ち過ぎたことが無いので、欲望を持ち過ぎた人間へのアドバイスはできないけど、欲望を全く持ってない時期があったので、欲望を全く持ってない人間へのアドバイスならできる。

この文章を読んでる人の中には昔の私みたいに全く欲望を持ってない人がいるでしょう。明日死んでも特に問題が無く、なんなら今日死んでも特に問題ない人が。例えばあなたとか。

あなたに対する私からのアドバイスは「ちゃんと欲望を持とう」です。

世間では「欲望を持たない人間は多くを望まないので心の平穏が得られる」などと言われていますが、実際のあなたは幸福度は低いし、なんなら生きづらささえあるでしょう。

あなたが生きづらいのはなぜかの話をしよう。

あなたは人生で「あれがしたいな」とか「これが欲しいな」という事が特にない。なので、自分の人生を自分でコントロールしてない。なぜなら人生をコントロールする理由が無いから。だから、周りの人が言う「これを頑張ってね」って言われたことを、とりあえず素直に頑張って、精神をすり減らしたりする。

人生の幸福度を決める要因のひとつに「自己決定」がある(参考:所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 2万人を調査 | Research at Kobe)。人間は自分の進路を自分で決めると幸福度が高まる。言い換えれば、自分の人生を自分で決めてコントロールしようとすると幸福度が高まるのだ。そして「自分はこれがしたい」「自分はこれが欲しい」という欲望を持つことで、初めて人間はそれを得るために自分の人生を自分でコントロールしようとする意志が生まれるのだ。

あなたが幸福度を高めるのに必要なのは、自分の人生を自分でコントロールしようとする意志であり、その意志をもつために必要なのは「あれがしたい」「これが欲しい」という欲望なのだ。だから、今あなたに必要なのは欲望だ。ちゃんと欲望を持とう。

大体ブッダもなぜか「欲望を持たない人」って言われてるけど、ブッダは欲望を持ってる。「悟りたい」という欲望を持ってる。だから「悟りたい」という欲望を元に「そのための修行をする」という「自己決定」をして自分の人生をコントロールしていたのだ。

あなたはそもそも「悟りたい」とかいう欲も持ってないでしょ?っていうか何の欲も持ってないでしょ?つまりあなたはブッダよりも欲望を持ってないんだよ。欲が無さすぎるんだよ。だから生きるのが辛いんだよ。

ここから察するに、要するに極端なのが問題なのだ。つまり「欲望持ちすぎ」は確かに問題だけど「欲望持たなすぎ」も問題なのだ。ちゃんとバランスを取ろう。ちゃんと欲望を持とう。

正直、人生で大事なのはバランスだと思う。基本的に極論は全て誤ってると思う。

欲望は持ち過ぎてもダメだし、持たな過ぎてもダメだ。ただし、どちらかと言えば少なめがいいと思う。なぜなら世の中には「欲望を持つと人生が破滅する」と警告する本の方が多いからだ。

過去記事で「人は自分のために生きるべきか」「他人のために生きるべきか」という話をしたことがあるけど、最近はある程度自分のために生き、ある程度他人のために生き、バランスを取ることが大事だなと思うようになった。つまり、100%自分の為は誤りだし、100%他人の為も誤りだ。ただ、どちらかと言えば「自分のため」を優先した方が良いと思う。なぜならほとんどの人間は死ぬときに「他人に言われるがままの人生ではなく、自分の思うがままの人生を生きればよかった」という後悔をするからだ。

とりあえず最短距離で、幸せと充足を求めるためのアレコレ|深津 貴之 (fladdict)|noteという記事の人も「バランス大事」って言ってるし。

欲望を持つと人生がシンプルになる。なぜならその欲望を達成する努力さえすればいいからだ。

欲望を持たないあなたは、他人から「これを頑張ってね」と言われたことを全て頑張って疲れるし、頭の中でとても複雑なことを考えてると思う。欲望を持たない方が、人生は複雑で苦しいのだ。

欲望とは例えば「恋人欲しい」とか「お金持ちになりたい」とか「世界一周したい」とか「世界を悪の手から救いたい」とかそういうことだ。そして、これを目的に頑張ればいい、と仮定してみると、人生は今よりよっぽどシンプルになりそうじゃない?

私の話をしよう。

私の人生は紆余曲折色々あったけど、多分最初に明確に目的として設定したのが「お金持ちになる」だったと思う。で、結局お金持ちにはなって無いけど、小金持ちにはなれて会社を辞めた。

そして現在、引き続き「お金持ち」を目指しつつ、第二の目的を作って、今その実現に向けて努力してる。

今、私の幸福度はそこそこ高いと思う。人生で何か幸せなことが起きたわけじゃないけど、目的に向けて努力してその実現に少しずつ近づいてる、っていうのは楽しいことなのだと思う。

ただ、問題は「目的」を設定して努力しても、それが成功するかどうかは分からないという事だ。私の第二目的も失敗する可能性が十分ある。失敗する可能性を考えると、やっぱり怖い。

だから私の現状は正確に言えば、怖いか怖くないかで言えば「怖い」けど、楽しいか楽しくないかで言えば「楽しい」状態です。そして、この生き方に納得してる。

「人は自分から積極的に行動すると幸福度が増す。その結果成功するか失敗するかは重要ではなく、行動すること自体が幸福」(参考:いますぐ行動を起こせば、結果にかかわらず、人生は必ず充実する。 | Books&Apps)という話があるので、正直人生が詰むことに直結しないのであれば、失敗自体はそれほど恐れる必要はないんじゃないかと思う。それに人間は死ぬときに「挑戦しなかったことを後悔する」そうだし。失敗することよりも、死ぬときに後悔することがある事の方が怖くない?私の人生の目標の最低合格点は「人生に後悔なく死ぬこと」だし。

だから皆もちゃんと欲望を持って、その実現に挑戦してね。