私は差別されている
私は差別されている。あなたも差別されている。あなたの両親も差別されている。あなたの友達も差別されている。あなたの好きな人も差別されている。みんな差別されている。
例えば、普通の人は「普通な人差別」を受けている。普通な人は、学校をサボらない。会社をサボらない。なぜなら、あなたは普通の人だからだ。そして、普通の人は「自分は普通の人だからサボってはいけない」と思って"しまっている"。
これがもし「適当な人」だったら、この人は「普通な人差別」を受けていない。適当な人は、堂々と学校をサボったり、会社をサボったりする。周りの人も「あいつは適当な奴だから」と許容している。適当な人自身も「俺、適当だから」とサボる選択肢を自然と取ることが出来る。これは一見、二人は同じ一般人として同じ権利を有しているように見えるが、実は「サボる」という権利を行使出来るのは「適当な人」だけだ。「普通な人」はさぼる権利を行使できない。「普通な人」は差別されている。
あなたの友達は差別されている。実は、あなたの友達はモヒカンカットをしたいと思っている。でも、周りから「こいつはそんなことする奴じゃない」という無言の圧力を受けている。結果として、彼はモヒカンカットが出来ない。彼は「こいつは突然モヒカンカットにするような奴じゃない差別」を受けているのだ。
例えば、あなたは差別されている。実は、あなたは毎朝ベッドで目が覚めたと同時に「ワールドワイドびーむ!!」って叫びたいと思っている。でも、あなたはそうできない。なぜなら、あなたはそのような事をする人間ではないと認識されているからだ。無言の圧力があるのだ。これは差別ではないか。
安倍首相も差別されている。例えば、首相でない私たちは気兼ねなく「エロエロ金日成!!」と叫ぶことが出来る。これは別にテレビカメラの前でこう叫んでも、別に「変な一般人がバカやってるなー」くらいにしか思われない。だが、想像してみよう。安倍首相がテレビカメラの前で「エロエロ金日成!!」と叫んでいるところを。多分、世間にめっちゃ叩かれる。退陣要求もでるかもしれない。これは、明らかに首相は差別されている。一般市民も安倍首相も同じ一人の人間なのに。
独裁者である金正恩も差別されている。あの独裁者の金正恩ですら「エロエロ金日成!!」と叫ぶことが出来ない。家族を使った一発ギャグができない。金正恩は差別されている。
オバマ大統領ですら差別されている。オバマ大統領という強大な権力を持った人間ですらテレビカメラの前で「エロエロ金日成!!」と叫ぶことが出来ないのだ。我々一般市民は実はオバマ大統領をも凌駕する「エロエロ金日成権利」を有しているのだ。
それどころか、イエス・キリストですら信者の前で「エロエロ金日成!!」と叫べないのだ。イエス・キリストですら「俺、そういうこと叫ぶキャラだと思われてないもんな……」とか考えてしまうのだ。無言の圧力があるのだ。もはや我々は神をも凌駕した「エロエロ金日成権利」を有しているのだ。
恐るべき!エロエロキムイルソン権利!──完!!
っていうことを言いたいわけじゃなくて、実は皆、誰かに「この人はこういう人間なんだなー」っていうのを認識されると、実はその範疇の外の行動をするのに、ものすごい無言の圧力を感じる。できない。
例えば、あなたが極々普通の一般人として、極々普通に学生したり、サラリーマンしていたりすると、多分、時々、とても疲れることがあると思うんだよね。それは実は、今のあなたの生き方が周りから期待されている生き方であって、あなたが生きたい生き方じゃ無いからだと思うんだ。
例えば日本人は他の国の人に比べて規範的、って言われるけど、これ実は日本の「普通」って実はかなりレベルの高い「普通」なんじゃないか。周りから期待される「普通」を演じるのに、実は結構なエネルギーを使うんじゃないか。
だって俺、お前の事良く知ってるけど、お前って実はそんな奴じゃないじゃん。お前って本当は学校にも会社にも行かずに、頭坊主にして、猫と一緒に屋根の上で日がな一日ぼーっとしてるような奴じゃん。なに普通の人のふりしてるの?お前、本当は顔にペインティングしてフンババ族に扮してヤリを持って子供たちと鬼ごっこをしたいと思ってるじゃん?鬼ごっこするのにフンババ族に扮するのはなぜなのか、俺には理解できなかったけど、お前は子供たちのフンババ族への憧れを俺に熱く語ってたじゃん。なに普通の人のふりしてるの?お前、本当は森の中に小屋建てて仙人みたいに暮らしたいって言ってたじゃん。木を掘って変な木像を作ったり、石像を作ったりして、それを売って生活したい。野性のタヌキと友達になりたい。って言ってたじゃん。なに普通の人のふりしてるの?
そして、今文章を見直してみて思ったけど、なぜ金正日じゃなくて金日成にしたんだろう。まあいいや。