自立するには
自立とは、誰にも頼らないことではありません。
自立とは「たくさんの依存先を持っていること」です。
つまり自立するために大事なことは「たくさんの依存先を作ること」です。
自立に関しては『生きる技法』という有名な本があります。
この本には『「助けてください」と言えたとき、人は自立している 東大教授が、自分自身のために命がけで考えた』という帯がついています。
この本の序盤の内容を少しだけご紹介します。
この本によると、小学生の頃から60年間「自立とは何か」を考え続けた経済学者の中村尚司さんという方が、ついに「自立とは依存することだ」という答えに到達されたそうです。
これは中村尚司さんの「当事者性の探究と参加型開発──スリランカにみる大学の社会貢献活動」という論文の中に書かれているそうです。(斎藤文彦編著『参加型開発―貧しい人々が主役となる開発へ向けて』日本評論社、2002年、所収)
中村さんは長い間、このことに薄々気付いておられ、小島直子さんの自伝(『口からうんちが出るように手術してください』)を読んで確信が持てたそうです。
中村さんは「自立とは依存することだ」という原理に到達された時、それまでに書いた自立に関する全ての文章を捨ててしまいたい、と思ったそうです。
というわけで、実は「自立とはたくさんの依存先を持っていること」というのを発見したのは『生きる技法』の著者の安冨歩さんではなくて、経済学者の中村尚司さんなんですね。
さて『生きる技法』の目次を少しだけご紹介します。
- 自立とは、多くの人に依存することである
- 自立とは依存することだ
- 依存する相手が増えるとき、人はより自立する
- 依存する相手が減るとき、人はより従属する
- 従属とは依存できないことだ
- 助けてください、と言えたとき、あなたは自立している
どうですか。目次をざっと見ただけでも、この本の言いたいことはなんとなく分かるでしょう。
もっとちゃんと知りたい人は、本を買って読んでください。
というわけで、あなたが自立したいと思うなら、依存先を増やす努力をしてください。