FIREと幸福について
こんにちは。私はここ3年か4年くらいFIRE?アーリーリタイア?みたいな生活をしているのでFIREに関する色々を話そうと思う。
まず前提として人間が幸福度を感じる2大要素は以下の2つです。
- 自分の人生を自分でコントロールできているという感覚
- 良い人間関係(量より質)
後は「今ある幸せに気づけること」とか他にも色々あるけど、大きいのは上の二つです。逆に言えば人間は「自分の人生を自分でコントロールできていない」場合に不幸を感じるし、「悪い人間関係」もしくは「孤独(人間関係がない)」の場合に不幸を感じると言うことです。
さてそもそもなぜ人はFIREに憧れるのでしょうか?もちろん学校や会社の人間関係が悪いから辞めたいと言うのもあるかもしれませんが、仮に人間関係の問題がないとしてもなんとなく学校に行くことを強制されること、会社に行くことを強制されることに不快感を感じるのは、「自分の人生を自分でコントロールできていない」と感じるからです。つまり人は「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」を手に入れたくてFIREを目指すのです。
でも「そもそもFIREに憧れない。FIREをしたいと思わない」と言う人も世の中にいます。多分その人たちは仕事をしている現在の状態で既に「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」と「良い人間関係(量より質)」の両方を手に入れているのでしょう。
例えば営業の仕事をしている人は「こう営業すれば上手く行くな」と言う仕事の中での上手くいかせるコツ、つまり「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」を手に入れていたり、コックが仕事を通じて新たな料理を開発することに「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」を手に入れていたりしていることが推察されます。
つまり私たちは「お金持ちになって働かなくて良い状態にならないと、辛い状態から抜け出せない」と思い込んで「FIREすること(お金持ちになること)」を目標にしていますが、そもそもの本来の目標である「楽しい人生を送ること」……つまり「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」と「良い人間関係(量より質)」の両方を手に入れることが最終的な目標だとするなら、「FIREすること(お金持ちになること)」はそのための手段の一つというだけであり、他の方法もあることが分かります(働きながら達成することも可能です)。
資産がいくらあればFIREできるのかについて。
当然多ければ多いほど良いのですが、私の中では「最低3000万円だな」というイメージです。
ただ最近なんか個別株投資じゃなくてインデックス投資でFIREすることを狙うのが流行ってますね。私も株を始めた当初にインデックス投資の勉強もしましたが「インデックス投資は年利が低すぎて若いうちにFIREするの無理だな」という判断で個別株投資に手を出してそこそこ成功しました。インデックス投資でFIREするのは無理じゃない?インデックス投資でFIREする人が存在することを否定はしないけど、その人はインデックス投資の力でFIREをしたわけじゃなくてただ単に高給取りなだけだよ。
なぜFIREに失敗するのかについて。
時々資産的には何も問題がないのにFIREに失敗したと感じて(FIREが自分に合わないと感じて)また働き出す人がいます。なぜFIREに失敗したと感じるかというとFIREによって
- 自分の人生を自分でコントロールできているという感覚
- 良い人間関係(量より質)
の両方が失われる場合があるからです。
まず会社を辞めることで人間関係が切れて「孤独」になる場合があります。なので同居人がいる人はFIREを続ける傾向にあり、一人暮らしの人はFIREに失敗する傾向があります。
また「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」が失われる理由ですが、選択に関する本(例えば選択の科学)を読んだことがある人は分かると思いますが、人間は選択肢がありすぎると逆に選べなくなるからです。FIREをすると人間は何をやっても良い状態になります。どこにでも好きな方向に自分の人生を進めていいし、何にでも好きなものに挑戦していいのです。働いてもいいし、遊んでもいいのです。というように無限の選択肢を前にして人間は逆に自分の人生をどうするかの選択肢を選べなくなり、自分の人生を自分でコントロールできているという感覚が失われるのです。
「何も選べないのなら、何もしなければいいじゃないか」と思うかもしれませんが「何もしない」というのはたくさんある選択肢の一つに過ぎません。「何もしない」という選択肢を選択すべきかどうかすら選べないので、FIREに挫折した人は「他人に自分の人生を指示される状態」「少なくとも自分の人生を無限の選択肢から選ぶという苦痛から逃れる手段」としてまた働き出すのです。
でも世の中にはFIREをした後に「何もしない」を選択して毎日ほのぼの生きている人もいます。ただそういう人って基本的に同居人(家族)と住んでるでしょ?だから私の考えでは多分「自分の投資の力で同居人(家族)を養う」というのは「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」を得られるものだけど、「自分の投資の力で自分だけを養う」というのは「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」を得られないものなんじゃないかと思う。多分。知らんけど。
実際私の場合はFIREしてみてどうだったかについて。
私の場合はFIREしてしばらくの期間は「不幸ではなくなったけど、幸福でもないな」という状態でした。私はてっきり不幸と幸福は表裏一体のものであり、不幸で無くなった分、人は幸せになるものだと思っていたのですが、実はどうやら「不幸」というステータスと「幸福」というステータスは別のもののようで、「不幸」の数値は0だけど「幸福」の数値も0という不思議な感覚な状態でした。
FIRE後は実家で暮らしてます。FIRE後は少しずつ色々やってみて「せっかくの人生だし起業してみるか。起業に成功したら私の人生もそこそこ動くやろ」と思ってまずは個人事業主になってそこそこの期間事業運営の勉強をし、その後に誰も雇わない私一人の一人株式会社を実際に作って一年間くらい事業運営をしていました。つまり私は元会社経営者です。えっへん。その後あまり上手くいかなかったので会社を清算しました。会社を閉じることを決めた頃は、また個人事業主としてしばらく事業運営の練習しようかなと考えていたのですが、面白そうな大会を見つけたので現在は起業を休んで、その大会に出す作品を趣味で作っています。
で実際に幸福度はどうなのかというと毎日めちゃくちゃ幸福度が高いです。それは、最近趣味のことをやっているから幸福度が高いのではなく起業に挑戦している頃からずっと人生が楽しかったです。多分、今まで生きてきた中で今が一番人生が楽しいです。
それはなぜかというと起業を成功させるために試行錯誤した経験を通じて段々と自分の人生のコントロールの仕方が分かってきたからだと思います。つまり、起業に挑戦していた頃から「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚」を手に入れたので、人生が楽しく感じるのだと思います。ただ、誤解しないで欲しいのは、私は「自分の人生を自分でコントロールできているから」幸せを感じるのではなく、「自分の人生を自分でコントロールできているという感覚があるから」幸せを感じているのです。私は自分の人生を完璧にコントロールできているわけではありません。実際、起業もあまり上手くいかなかったために「一旦会社潰して、また個人事業主になって事業の運営方法勉強するか」と思って廃業させています。
つまり「自分の人生を自分でコントロールできている感覚」というのは「完璧に自分の人生をコントロールできていること」を意味するのではなくて、上手くいかなかったり、失敗したりもするけれど、私は私なりに私のペースで私の人生を試行錯誤してみたり、進めたい方向に進めてみたり、チャレンジしてみたりできてるなー、という感覚のことなのだと思います。
欲を言えば結婚をしてみたいのですが結婚できていないので、多分私の人生は孤独死する可能性がかなり高く、私の人生はバッドエンドで終わる可能性がかなり高いです。私もそれを自覚しています。でも、それと無関係に毎日ものすごく楽しいです。無自覚に鼻歌歌い出すレベルです。マジで。
過去記事を見ると私は「人間は何かを選択した結果幸福を手に入れることができる」という説を唱えていましたが、訂正します。人間は今そこにある幸せに気づくことが出来るなら今すぐに十分幸せを感じることが出来るということです。でも、多分あなたは今ある幸福に気づくことができないと思います。例えば、青空を見てもあなたは「青空だなあ」としか思わないし、鴨が2羽飛んでいても「鴨が2羽飛んでるなあ」としか思わないと思います。でも私は青空を見るだけで「めっちゃいい青空やんけ!」と幸福度がアップしますし、鴨が2羽飛んでるだけで「鴨が2羽並んで飛んどるがな!」と幸福度がアップします。
私とあなたの違いは感性の違い……ではなくて、心の余裕の違いです。私今めっちゃ心に余裕があります。ストレスゼロです。知ってました?ストレスゼロで青空見ると「めっちゃいい青空やんけ!」と気持ちよくなれるし、ストレスゼロで鴨が2羽飛んでるの見ると「鴨が2羽並んで飛んどるがな!」と気持ちよくなれます。
ちなみに私は働いているときはめちゃくちゃストレスがあったので青空を見ても何も思わなかったし、鴨が飛んでるのを見ても何も思わなかったと思います。そして、もし働いてストレスを溜めていた私がこの文章を見たとするなら、多分私は「はあ!?意味わからんわ!ぶちのめすぞ!」と思ってたと思います。なので多分これを見ている皆さんのほとんども私に対して「はあ!?意味わからんわ!ぶちのめぞ!」と思ってると思います。ごめんなさい。ただ、皆さんが今私に対して「ぶちのめすぞ!」と思っているのを理解していながら「ストレスゼロの状態で青空見たり鴨見たりすると、それだけで幸福度アップするよ」というメチャクチャふざけたクソみたいな話をしているのは、そのメチャクチャふざけたクソみたいな話が事実だからです。いつかストレスゼロの状態を手に入れた時に私の話を思い出して「あの話、本当だったなあ」と思ってください。
働いていた頃は「幸福」というのは私と最も縁遠い言葉だと思ってたのですが、FIRE後にソファの上で布団を頭からかぶってスマホいじってるだけでものすごく十分に幸せを感じられるので「私ってソファと布団とスマホだけで幸せになれるんだなー」という発見がありました。
というわけで、FIRE後に自分の人生の行き先をそこそこ決めることができ、かつ同居人もいれば、多分そこそこ楽しい生活が送れると思います。多分。知らんけど。