容疑者天皇陛下
子供裁判長
「"クリスマス・イヴの晩、日本中の孤児院に何者かがプレゼントを贈る"事件。天皇陛下。まさかあなたがこの事件の容疑者となるとは……」
天皇陛下
「いえいえ。子供たちの間で話題のこの事件の犯人を突き止めるのは、子供たちの為の司法組織『子供裁判』の重要な使命だと理解しております」
子供裁判長
「ご協力、ありがとうございます。さて、ご存知の通り、子供裁判は子供たちの間で起こった事件を裁く裁判です。日本中の子供たちに、この裁判を傍聴する権利があります。大人たちが使うような難しい言葉はすべて慎んでください。例えば、一般的な裁判では答えたくない質問には『黙秘します』と答えることになりますが、子供裁判においては答えたくない質問に関しては、子供たちの中で今ブームになっている絵本『6歳のアーサー王子』より、『6歳のアーサー王子が、誰も岩から引き抜くことの出来なかった伝説の剣を引き抜いたときに、思わず喜んで言いそうなセリフ』を言ってください」
天皇陛下
「……はい?」
子供裁判長
「ですから、黙秘したい時は『6歳のアーサー王子が、伝説の剣を引き抜いたときに、喜んで言いそうなセリフ』を叫んでください」
天皇陛下
「『黙秘します』というよりも、逆に分かりにくくは無いですか?」
子供裁判長
「いえ。陛下は子供たちの飽きの早さを舐めています。ニュース番組なんか、見てると6秒で飽きます。ましてや裁判です。あなた達大人がやるような普通の裁判では、我々子供たちは、飽きます!!寝ます!!つまらない裁判というのは、我々子供たちから『飽きずに裁判を傍聴する権利』を侵害することになります。過剰な演出、飽きのこない演出、と言うのは子供裁判では必須です」
天皇陛下
「なるほど、そういう事ですか」
子供裁判長
「いいですか?黙秘したい時は、ちゃんと6歳のアーサー王子の喜びを表現してくださいよ?」
天皇陛下
「大丈夫です。理解しました」
子供裁判長
「ありがとうございます。では裁判を始めましょう。まず一つ目の質問です。クリスマス・イヴの晩、陛下は一体どちらにおられましたか?」
天皇陛下
「Yay! I did it! Look! I got legendary sword!!」
子供裁判長
「……えっと、アーサーは日本語ペラペラです」