意思決定を補助するAIは人を幸せにする
以前、エネルギーの記事で「文庫 データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則 (草思社文庫)」という本を紹介した。
この本の中で「人間は、自ら積極的に行動を起こすことに幸せを感じる」「行動の結果が成功したか失敗したかは関係がない」「行動を起こすこと自体が幸せである」みたいな文章と合わせて「なので、もし人を幸せにするAIがあるとすれば、それは人間の代わりに全てを決めるAIではなく、人間の意思決定を補助するAIだろう」みたいな文章があった。
たぶん、自分の人生の大事な選択肢を自分自身で決めたことがある人は「行動の成功、失敗に関わらず、行動自体が幸せ」という言葉に納得できるのではないだろうか。個人的には「行動」という言葉だと語弊があると思っていて「行動」というよりも「自分の人生を主体的に決めて生きる」ことに幸せを感じる気がする。私も過去に何度か人生の選択を迫られたことがあるけど、自分自身で自分の人生を決めることに幸せを感じた。
さて、ちょっと話を変えよう。
私は今は無しょk……人生の休憩中ですが、去年の春まで働いていて、働いていた頃はプログラマーでした。
プログラマーという仕事は、ロジカルで、くっきりはっきりしていて、少しでもロジックを間違うと、途端にプログラムが動かなくなったり、バグが混入する世界。
仕事をやめた私は、反動でこう思いました。「もうロジカルな世界は嫌だ。くっきりはっきりした世界は嫌だ。もっとぼんやりとした曖昧な世界に生きたい。感覚的な世界に触れたい」
というわけで、趣味でタロットカードを始めた。
元プログラマーで、今は無職で、個人投資家で、タロットカードを始めて、私が一体どこに向かっているかは私にもわからない。
というわけでタロットカードの話をしよう。
タロットカードとは絵が書かれたカードのことで、これを使って占いができる。ちなみにタロットカードをやったことがない人は難しいイメージがあるかもしれないけど、初心者向けにタロットカードが付属した本がいくつか売っており、それら初心者向けの本を一冊買うだけで基本的なタロット占いはできるようになる。
タロットカードにはそれぞれ絵が描かれていて、タロットカードを裏向きにしてシャッフルしたあと、決まった形にカードを並べ、それを表向きにすることで、「どのような絵柄のカードか?」「どの場所に配置されていたか?」を元に占うのだ。
私はどちらかというと実践よりもまずは知識を得たい派なので、タロット占いに関する本を読んで勉強した。すると、次の2点がわかった。
1点目。タロットの絵に関しては、確かに「なんとなく皆、この絵からはこういう意味を得るよね」っていう共通的な見方があるが、実はそれは絶対的なものではない。なので、あなたがオリジナルでその絵に何か意味を見出していい。つまり、実はタロットの勉強なんか何もしなくて、単純にカードに描かれた絵の雰囲気だけで、それの意味を勝手に決めて占って良い。
2点目。確かにタロット占いには伝統的なカードの並べ方がいくつかあるが、実はカードの並び方法と配置場所の意味を、自分で開発して良い。
私は思いましたね。「ガバガバルールやな。素敵」と。
実は、去年会社をやめた一ヶ月後くらいに、なぜか知らないけど、なんとなく初心者向けの占い本「はじめてのタロット」が目について、やたら評判がいいから買ってみたら、結構当たって楽しくてね。本格的に趣味にしようと思って本格的なタロットカードをネットで注文して今日届いた。
で、タロットカードを使って自分の事を占っていて思ったのは、「意思決定を補助するためのAIなんか開発しなくても、タロットカードが意思決定を補助するためのツールになるのでは?」ということだ。
タロットカードには、確かに意味はあるけど例えばカードの意味は「死と再生」とか「無知と自由」とか「支配と社会」とか、ものすごく観念的な意味しか無くて、さらにカードの配置場所の意味も「現在のあなたの状況」とか「障害」とか「目標」とか観念的なものしかない。
観念的なものと観念的なものを合わせても、くっきりはっきり何かの意味……例えば「明日の午前10時半に100円を拾う」みたいなことを読み取れるわけではない。つまり、そこにどんな意味を見出すかは、占っている人自身に委ねられている。
たとえば自分が何かの目標について「成功するか失敗するか」を占った結果「死神」のカードが出たとしよう。
自分がなんとなく失敗するなと思ってた人は「やっぱこれはもともと無理だったんだな。やめよう」って意思決定が出来る。
でも、実は死神のカードには「死」の意味とともに「死と再生」も意味する。だから、「今のままじゃ駄目だけど、抜本的にやり方を変えれば成功する可能性もでてくるんだな」という意味を読み取る人もいる。
で、どちらの意味を読み取るかはその人の潜在意識によるんじゃないだろうか。タロットカードの意味は、実は結構玉虫色で、いい意味にも取れるし、悪い意味にも取れる。そして、どちらの意味で受け取るかはその人の潜在意識によるのだ。だから、これはもう人の意思決定を補助するツールと言えるのでは?
実際に私も「もしやタロットをちゃんとやるならスクールに通ったほうが良いのでは」と思ってスクールに行くべきかどうか占ったら「スクールに通うという判断はちょっと間違ってる」ってでて「確かに、冷静に考えたらそうだな」という意思決定をしましたからね。冷静になって本当に良かった。
ちなみにタロット占い師というのは、特に資格もなくなれるものだそうだ。なので、プロのタロット占い師も、独学の人がそこそこいるらしい。私も人生がニッチもサッチも行かなくなったらタロット占い師になろうかと思う。
なお、実は私は最近人生の進路について悩んでいる。確かにストレスは無いんだけど、これからどの方向へ進むべきか。何を頑張るべきかが分からない。
というわけでタロットカードで「短期的に何を目的にすべきか?」を占うんだけど、「乗り越えるべき試練・障害」のところに「神秘」を意味するカードが出て、これは「もっと内なる自分と対話しろ」という意味なのか、それとも「え?障害ですか?私があなたにそれを教えると思いますか?なんの義理があって?」とタロットカードに言われているのかで悩んでいる。でも、近い将来と、結果は「喜びに満ち溢れるよ。成功するよ」って出る。喜びに満ち溢れたいし、成功もしたいけど、何を目的にすべきかが分からない。それとも、何もしなくても自動的に運命が動くの?ぐぬぬ。
この記事には続きがあります。意思決定を補助するツールは人を幸せにしない。